【中国】生態環境違法行為の告発 奨励の強化についての指導意見

日本ではあまり報道されませんが、中国の環境規制強化は一段と厳しくなっています。

毎週数件も日系大手企業から当社への相談が舞い込んでいる状況が続いています。

管轄の環境局から指摘を受けたが、どうしたら良いのか?

環境法令違反で行政処罰を受けたが、どうしたらいいのか?

と言った内容が多く、そもそも自らがどのような状態で操業をしているかも把握できおらず、指摘内容も理解できずに右往左往されている状態です。

以前よりブログでも伝えていますが、外部専門家による「現状の環境DD(デューデリジェンス)」を行う事が求めらているのですが、その重要性も理解されておられない企業が未だに多くあります。

即ち、事業所(現地製造拠点)の健康診断を専門医により行い、自らは気付いていない問題点を洗い出して対策を講じる必要があるのです。      SDGS ESG

直近で当社が実施した事業所の環境DD(現状診断)では、50件中で問題が無かった事業所は1件だけです。

95%の事業所が違法状態で操業を続けている状態でした。

未だに多くの企業が環境法令違反を続けている状態を改善する為に、中国政府・生態環境部弁公庁が「生態環境違法行為の告発奨励の強化についての指導意見(パブコメ版)」を公表しました。

その目的は生態環境部WEBに依れば、以下のようになります。
「社会監督を強化させ、住民からの生態環境違法告発を奨励し、告発人の合法利益を保護するために、生態環境部弁公庁は『生態環境違法行為の告発奨励の強化についての指導意見(パブコメ版)』を作成し、生態環境部のHPに公開し、社会公衆に意見を収集する。」としており、「2020年年末までに、全ての市レベルの生態環境部門が環境告発奨励制度を構築すべき。」としています。

http://zfj.mee.gov.cn/dtxx/201908/t20190814_728854.shtml

■今回のパブコメの背景としては、2015年「環境保護法」が改訂されて以降、中国では環境規制が大幅に強化された。近年、上海市をはじめとして中国各地には、環境違反行為告発に対する奨励制度が制定・実施されている。
今回は、この制度の見直しなどを目的としている。

■環境不法行為の告発:
市民は、市街区のいかなる工業企業による環境違法行為を発見した場合いつでも告発可能。
加えて、その違反事実が確認された場合は、奨励金を現金でもらう事が可能。

■告発方法:
電話、ネット投書、正式投書、関連部門に訪問、微信(ウィーチャット)等

■パブコメの総合要求:
目的:汚染の難関攻略を促進し、生態環境問題を解決する。
①物質奨励(奨励金)と精神奨励(栄耀証明書)を結合し、告発人の権利・利益を保護する。
②現時点の奨励制度に基づいて、各地域の現状に合わせて改善する。

■奨励制度を完備する
①利益を目的とする告発行為を合理的に制限する:実名告発。明確的な告発対象・不法行為があること。
②告発の対象行為及び奨励の条件・金額について:各地方はローカルの現状にあわせて、不法行為の程度・社会への影響・発見の経緯等に基づき、奨励の基準を規定することが可能。
③効率を向上させ、告発及び奨励を定着する為の手順を完備すること。

■組織保障及び実施の強化
本意見に基づいて、省級生態環境部門はローカルの現状にあわせて、当地域の告発奨励規定を作成すべき。
市級生態環境部門は省の規定を細分化すること。
資金の確保及び監督管理を強化させる。
情報公開及び宣伝研修事業を推進する。

と言うことで、今後も環境対策に対する市民の目はより厳しくなっていくことでしょう。
実際、現在でも環境保護局が摘発した環境対策違反のほぼ80%は市民からの告発によるものであると当局者の公的な発言もあります。

つまり、自らを律してしっかりと対策を取ることが、自社内部スタッフの意識向上にもながりますし、無駄な軋轢を生むような事が無くなると言えます。
しっかりと環境への取り組みを内部スタッフにも宣言し、より透明性があるしっかりした対策を取っていきましょう。

皆様の対策推進を応援しております!

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