今週、上海市生態環境局より6月度の環境法令違反企業(者)が公示されました。
URL:http://sthj.sh.gov.cn/fa/cms/shhj/shhj2060/index.shtml
6月は上海市だけで日系企業は4社摘発されており、その内の3社が東証一部上場企業、その他1社も未上場ではありますが売上1000億円を超える大手企業です。 規制
過去からずっと警笛を鳴らし続けていますが、未だに上海市だけでも毎月コンスタントに4~5社の日系企業が摘発されております。
その答えは、一言でいうと中国の環境対策専門家不在での運営でしょう。
私のブログでは、2014年6月14日、2017年2月10日にも外部監査の重要性を説いていますが、メディアなども大きく取り上げない事もあり、皆さん危機感を抱くことなく操業を続けておられるのかと思います。
2014年6月14日ブログ ⇒ http://steco-blog.com/shimizu/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9/1862.html
2017年2月10日ブログ ⇒ http://steco-blog.com/shimizu/%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%83%93%e3%82%b8%e3%83%8d%e3%82%b9/2692.html
6月に摘発された東証一部上場企業の各社は、当然ながらホームページを見るとコンプライアンスや環境法令遵守など立派に書かれていますが、実態が伴っていない状態はどこも似たり寄ったりなのでしょう。
6月に環境法令違反で公示された日系企業は以下となります。
・富士达电梯配件(上海)有限公司
・上海普陀吉世科特殊涂装有限公司
・中涂化工(上海)有限公司
・上海宝菱塑料制品有限公司※イエローカード
この中で中涂化工(上海)有限公司は2015年4月から環境関連の法令違反で9件も摘発されており、上海宝菱塑料制品有限公司は2015年9月より6件摘発されています。
法令遵守は上場企業として当然の責務ですが、長く改善されず未だに繰り返している現状は悲しいです。
どの企業もホームページではコンプライアンスや環境対策など同じような内容で書かれていますが、問題は監査体制にあります。
また、多くの企業はISOを取得し、毎年審査を受けているので大丈夫だと思われていますが、当然ながら毎月摘発されている日系企業のほとんどはISOを取得されています。
中国事業所での環境対策とISOは何ら関係ない事を認識してください。
過去のブログでも書いておりますが、会計に関しては上場企業は監査法人により厳しい監査を受けますが、環境・安全・衛生に関しては内部監査しか行っていない企業がほとんどです。
中国(海外)では日本国内と法令・条例・規制も異なりますので専門家でなくては監査は無理なのですが、未だに多くの企業は内部監査しか行っていません。
まず日本側の専門家では役に立ちません。中国内に自社で専門家を雇用されているケースもありますが、本当に専門家でしょうか?
会計では当然ながら自社内にも専門家はおられるはずですが、なぜ外部の専門家(監査法人)により監査を受けるのでしょうか。単に上場企業のルールで決められているからでしょうか?
当社へのご相談も最近では現地法人からではなく、本社の法務・コンプライアンス部門から直接ご相談を頂くケースが増えてきました。
風向きが変わりつつあります。