中国におけるコンプライアンスの最新課題

「MIZUHO CHINA MONTHLY」の6月号にて環境も含めたコンプライアンスに関する情報が配信されました。

情報元:https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/world/info/cndb/economics/monthly/pdf/R512-0117-XF-0105.pdf

法務では、「中国におけるコンプライアンスの最新課題」について西村あさひ法律事務所の野村弁護士(上海事務所代表)から寄稿されています。

以下、ポイントと思われる記載となります。

これまで、環境問題は主に、法令上の環境基準をいかに満たすかという技術的な問題であるという見方が強く、そのため日系企業の社内でも、技術系の人員が環境問題を担当するケースが多かったのではないかと思います。ただ私が最近感じるのは、中国における環境問題は法令上の環境基準を技術的にどう満たすかという問題に止まらず、コンプライアンス上の問題も内包しているのではないかというものです。

環境問題がコンプライアンス問題でもあるというのには、二つの側面があると思われます。一つは、会社が環境問題で法令違反となり、行政処罰を受けるような事態は、法令遵守という意味でのコンプライアンス上の問題であるというものです。もう一つは、環境問題対応の社内プロセスにおいて、様々な不正行為が潜在していることがあり、それを防止するという意味でのコンプライアンス問題です。

中国での環境規制の厳格化と当局の調査・処罰の強化の流れのもと、中国の大手企業では、専門の環境担当を置いて、中央及び現地の環境保護局の動向をウォッチしたり、当局による調査に積極的に対応したりしています。当局の担当者ともよくコミュニケーションを取り、現在は当局がどの分野・地域にフォーカスして重点的に取り締まろうとしているかを把握しようと努め、環境保護の面での当局対応に力を入れているわけです。他方で、多くの日系企業では、技術系のスタッフが環境問題を兼務して付随的に担当しており、数多い環境法令の改正情報の収集で手一杯となっていて、上記のような当局対応まではカバーできていないケースも多いのではないかと思います。

メーカーの工場が環境保護対策を取る場合、環境規制に対応するための機器・装置の交換や新規購入が必要となることがよくあります。このような機器・装置は、非常に高額であるにもかかわらず、社内の環境担当者が実際上単独で選定しているケースが少なくないようです。特定の人物が長年にわたって担当している場合に、それが既得権化してしまい、外部の業者との癒着やリベートのやり取り等が生じ、相見積もりを取らなかったり、複数の業者と通謀して形だけ相見積もりをとったことにするケースも見られるようです。環境保護対策が社内不正の温床になっているわけです。

まずは、会社が環境問題対応のため購入している設備が、そもそも要求される環境基準に照らして必須のものかどうか、及び代替できる機器・装置との機能・価格の比較などを、外部専門家の知見も利用して行うことが考えられます。

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