
久しぶりに良い内容が書かれた本に出会いました。
【詳細説明】
中国に進出した日本企業30年の歴史は、ただ「喰われる」ばかりだった?
本書は、日本の某中堅広告代理店で上海万博プロジェクトの最前線に立った
中国人女性が、自らの遭遇したショッキングな体験談を綴ったものです。
リーマン・ショックを乗り越えて過剰な自信を持つようになった中国では、
ノコノコやってきた外資などただの「アイディアを盗む」対象でしかありません。
ならばと現地において信頼できるコネを作ろうとしても、
「私は有力者と知り合いである」と自称する詐欺師に騙されるばかり。
たとえ中国人であっても、この中国ビジネスの現場では大きな苦労を
強いられたのです。
しかし、やられっぱなしでいるわけにはいきません。
強引な契約解除にどう抵抗するか、踏み倒しを奨励する中国企業から
いかに債権を回収するか。
著者の張さんは深い幻滅を味わいながらも奮闘し、結果的には破綻した
ビジネスであっても、一定の結果を残すことができました。
これは、これまでの日本人が中国など海外に抱いていた思い込みに
基づいていては、決して実現できない結果でもあったでしょう。
本書は豊富な実例から、中国のみならず海外ビジネスに関わる人間にとって
欠かせない教訓と基礎知識を伝授します。
中国に対して溜飲を下げるばかりではなく、「ではどうするのか」という
処方箋まで提案する、唯一無二の「中国本」の登場です。
【目次】
序章 反日教育を受けた私は、日本国籍に帰化しました
第1章 外資系企業は、カモですか?
第2章 キラキラ「巨大市場」の闇
第3章 「中国で稼ぐ」見果てぬ夢
第4章 欲望に満ちた市場、果てしない孤独感
第5章 契約のために、とにかく粘ります
第6章 中国は、巨大工場ではなく、巨大買い手市場です
第7章 自称「中国ビジネス通」の恐怖
第8章 奈落
第9章 さらばチャイニーズ・ドリーム
第10章 何が中国の真実なのか?
終章 ならばどう中国市場と付き合うべきか
【著者紹介】
張益羽(チョウ・マウ、某中堅広告代理店勤務)
滞日歴12年。
上海の大学を卒業後、日本文部科学省国費留学生として来日。
表象文化を研究テーマとし、大学院修士課程を修了。
大学院在学期間中より国際会議等の通訳・翻訳、中国語講師等の仕事に関わり、2002年より現職。
さまざまな企業の中国マーケティング業務を経験し、上海万博などの大型イベントにも携わる。
日本企業と中国企業を両方担当してきた。
また、社内で初めて中国企業から日本円で億単位の入金を実現した。
中国関連の新書は常に購入し年間50~60冊は読んでいますが、良い内容の書籍は10%ほどしかありません。
ほとんどは現実とはかけ離れていたり、意味の無い内容の書籍です。読まない方が良い書籍も多く存在しているのが現実でしょう。
評論家と称する方々の書かれている書籍は読む必要をほとんど感じません。
今までに読んだ書籍で良かった物は、ほとんど中国での実業経験を積んだ方が書かれた書籍です。
興味を引くタイトルを付けるのは仕方がないとして、未だに「中国人は面子を重んじるので人前で注意してはいけない」とか書いている本もありますが、腰かけ程度で中国ビジネスをした方が書かれているのでしょう。
中国でビジネスを始めて9年目になりますが、今改めてはっきり言えるのは、「中国通(つう)」と言われる専門家(書籍やコンサルタント)の多くによってビジネスが混乱していると言う現実です。
間違った情報や認識でビジネスが上手く進むはずもありません。
中国だからと言う特別な感覚を持ち込まず、当たり前の事を当たり前に考え、そして形にしていく事が最も重要です。