最近、「当局より〇〇するようにと指摘(指導)があったのだが、その法的根拠が何なのか教えて欲しい」と言う相談が非常に多くあります。
多くの場合、調べてみると当局の指摘(指導)は法律に則しており適切な行為がほとんどなのですが、逆に考えれば指摘(指導)があるまで法律に則さず操業していた事とも言えます。
自社が環境関連の法令に準じて操業をしているのかどうか?まったく認識せずに運営している企業が未だに多くあります。
この問題は日系企業の場合は特に多い傾向にありますが、これは組織運営の仕組みに問題があるからです。
当局の担当者は当然ながら中国人、当局とのやり取り窓口となる自社スタッフは当然ながら中国人となり、日本人管理者はその内容を正確に理解(把握)できない状況にあります。
当局より説明を受けた自社中国人スタッフが日本人管理者に説明する場合、自社の通訳を介して行いますが、概ね総務部に属している通訳が行う事となります。しかし、環境関連の専門用語などについては一般の通訳では適切に翻訳する事は困難であり、この時点で正しく日本人管理者に当局とのやり取りについて伝わらない事が多々あります。
このように何が起きているのかが正確に把握できない状況下で運営を続けている訳です。
従って、冒頭に記したように「当局より〇〇するようにと指摘(指導)があったのだが、その法的根拠が何なのか教えて欲しい」と当社へ相談が舞い込んでいる状況です。
実際は、事前に当局からは担当スタッフへ説明などはあったはずずですし、指摘(指導)が出る前には何らかのアドバイスもあったと思います。
笑えない実話ですが、ある日系企業が環境法令違反で上海市環境保護局のホームページに違反企業として公開されたのですが、当社の取引先ではないのですが知り合いの企業でしたので総経理に「環境違反で大変でしたね」と話したところ、その総経理は「何のこと?」と自社が環境法令違反で摘発され上海市環境保護局のホームページで公開されている事を知りませんでした。慌てて、公開情報を教えて欲しいと言われ、こちらから公開されている情報をお伝えしました。
その後にわかった事ですが、この企業の場合は当局とのやり取りを全て中国人スタッフに任せており、そのやり取り内容も日本人管理者へほとんど報告が無いままだったようです。
全て担当者任せでやっており、法令違反してしまった事実すら日本人管理者に報告をしなかったのです。※怒られると思ったのでしょうが。
今、中国は本気で環境規制強化に取り組んでいます。政府も重要な課題だと認識して対応している状況に於いて、日本人管理者の危機意識欠如が実情で大きな問題です。
