https://www.risktaisaku.com/articles/-/17559
「日本企業が失敗する新チャイナ・リスク」と銘打っての新しい連載が開始されました。隔週の金曜日が投稿日となります。次回は、6月14日。
これまでの経験を活かして、これから引き続き、または今後中国にて経営に乗り出したいという方々の為に、失敗した事例を中心にしてどうしたら失敗しないかを伝えていきたいと思っています。
自らがまだまだ成功したとは自慢できない立場ではありますが、16年間失敗はしたけれどもしっかり生き残っていることの価値を再考したとき、これから中国を目指す人たちに何らかの糧になるような事は語れるなと感じたのが始まり。
今後乞うご期待!
ちなみに、会員登録されていない方のために、第一回目の原稿を下にご紹介します。登録お願いします!
コラムテーマ:『日本企業が失敗する新チャイナ・リスクの盲点』
【第一回】 なぜ、中国事業は難しいと感じるのか?
サブタイトル:これまで中小企業が直面した課題
この度、機会を頂き新たにコラム寄稿させて頂くことになりました江頭と申します。
筆者は、中国に移り住み16年もの間、現地にて中小企業の社員として、またその後は総経理(社長)として中国現地のビジネスに携わってきました。この間、多くの日系企業の成功と失敗を目の当たりにし、決して日本のメディアには紹介されない「裏に潜む現実」を肌身で感じてきた日本人生き証人の一人でもあります。
米中貿易戦争とも言われる経済冷戦まっただ中の今もなお、中国という巨大な国家は市場としても生産拠点としても絶対に無視することのできない存在です。
しかし、日系企業の中国ビジネスは決して順風満帆ではありません。大手企業でも苦戦を強いられているにもかかわらず、中小企業が活路を見いだしたいと徒手空拳でこの中国大陸という大海原に乗り込んでは来ますが、その多くが失意のまま撤退し、「中国ビジネスは難しい」という認識だけが蔓延しています。
さらに、日本のメディアを賑わす中国関連の情報は偏向が強く、本来知るべきことは知らされずに、日本人は色眼鏡を掛けたまま中国という国を見てしまっているのが残念な現実です。
そこで、このコラムにおいては、現実に起きている事象をあまねく紹介し、その背景にある原因を探り出すことをテーマとして進めていきたいと思います。
中国において、日々現場で起こる現地でしか知り得ない真実と、その解決のための方程式を皆さまと共有できれば幸甚です。主に中小企業を想定して執筆させていただきますが、もちろん大企業の方にも参考にしていただける内容かと思います。短い連載コラムという形ではありますが、中国という大海原を航海するための水先案内人を務めさせていただきます。
■ 日系中小企業の弱点
まずは、これまでの経験から中国進出した中小企業が直面している課題をまとめてみます。
1) 大手企業と違い体力が無いことから、運営を現地に任せっきりになっていることが多く、会計処理などが正しく行われているかどうかの判断がつかない。
2) 海外に行ける人材が慢性的に不足している。しかし、日本からの駐在員は3年から4年周期で代わることが多いため、適材適所とは言えない責任者を立てることを余儀なくされている。
中国人を責任者に立てる企業もあるが、日本の商習慣などとの違いからうまくいかないケースが多い。
3) 言語の違いと商習慣の違いに翻弄されてしまう。また、国家体制の違いから日本の常識は通じず、かつ現地従業員の意図するところ、希望や要望などについてのコミュニケーションが不足している。
4) 現地の情報が本社に十分に伝わっていない。現地法人からだけの情報では正しい経営判断ができない。現地の日系企業とのコミュニティしか情報源を持たないということがほとんど。
5) 現地スタッフと日本人駐在員の給与格差が大きく、経済成長を続ける中国では現地スタッフにとっては日系企業に勤めるというメリットが無い。結果、採算の合わない事業になっている。
6) 中国の「性悪説」がどのように日常に発現するかが理解できず、本来ならば抑止しておくべきことができない。中途半端な体制下、比較的勤務の長い現地スタッフに野放図にやられてしまっている。
7) 駐在員の私生活やプライベートな面には無頓着なためか、自己管理のできない駐在員が問題を起こすケースが多く、情報の漏洩、経費の無駄遣いなど経営リスクとなり得る事象が把握できていない。
8) 中国政府、中国市場、中国経済の変化のスピードは凄まじく、数十年も変化の乏しい日本で培われた習慣から容易に脱出できないという「形骸化されたシステム」を中国でも引きずっている。相変わらずの相見積もり制など。
9) 外部専門家、コンサルタントへの投資を軽視する傾向が強い。
結果、日本人駐在員が本来の仕事(生産、営業)に集中できず、日々の雑多な仕事に追われ疲弊している。
10) 日本から来る実効性の無い監査チームの弊害。高い経費を使い現地の視察に来るが、現地のスタッフからすれば迷惑に感じることが多い。現地の事情に疎い監査は全くの無意味。
11) 共産主義国家、社会主義体制でありながら、市場経済という複雑な状況が飲み込めていない。一種の矛盾の中で繰り広げられる経済活動への対処ができてない。
12) 世界の覇権国家を目指す中国は、これまでの欧米式のスタンダードから脱し、中国式スタンダードを定着させようとしている。しかし、日本は長らく欧米式にならされているため、規格、方式、管理手法に至るまで戸惑いを隠せない状況。いつも変化に追われてしまっており、受け身の体勢から抜け出せない。
13) 日本式の系列や下請け体制にならされているため、良い技術、世界的技術を持っていても、それをうまく売り込めない。また、「中国に出ると技術が盗まれるとか真似されるから……」というステレオタイプの考えが強く、ビジネスとして展開できない。
以上。スペースの関係上、ここで筆を置きますが、まだまだ課題、弱点として挙げることのできるポイントは数多く存在します。次回から一つずつ実例を挙げながら、原因と処方箋をご紹介していきます。
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